ゴム印の出来るまで。
☆ここではゴム印が出来る工程をお見せします。
1.入稿・組版作業
お客様から受注した原稿をPCで入稿して特殊ソフトでDTPオペレーターがお客様のご指定の大きさ、書体に組版します。
文字のポイントや幅によってバランスよく整えていき行間もゴムを裁断するのに刃の入る幅にしたり焼きあがったゴムが縮む分も計算して組むので頭をつかう工程です。
2.校正・フイルム出力作業
組版が終わると誤字・脱字がないか校正して、間違いなければ特殊フィルムにプリントします。これが印面のデザインソースとなります。
3.露光
フィルムを版材にシートとを被せて真空密着させて露光して版下を焼き付けます。常にシートが汚れて透明性が損なわれてないかをチェックして空気が残らないように気をつけて密着します。空気が残り密着不足だと文字がクリアに出なく商品になりません。
露光時間も書体や文字の大きさ等で変わります。太い書体は短く露光してゴム等で光が当たらないようにマスキングして細い書体に再び露光します。ゴム印を押した時に綺麗に捺印出来るかはこの作業も重要で神経を集中します。
4.洗い出し・乾燥
露光した版材をお湯で洗い出します・水槽にブラシが付いていて版材を貼り付けたマグネット盤が回転して光が当たってない部分を洗い流して凸版となります。
洗いが足りないと字が太くなったり過ぎると文字が欠けるので水温と時間は気を遣い水分が版に残らないようにしっかりとふき取ります。
水分が残ったまま乾燥すると文字面を溶かしてしまいます。50℃に温めたヒーターで25分乾燥後にもう一度露光して凸版面を固めます。
5.型取り
離形剤をスプレーしてブラシでよく拡散します。拡散不足だと文字面が上手く離形せずに母型に取られて埋まるのでブラッシングも隅から隅まで余す所ないようにします。
その後でフレームに凸版をはめて母型をのせて紙と鉄板を被せてプレスします。 プレス機は鉄板温度が充分な温度になるように設定して温めておきます。
プレスしとエアー抜きを繰り返し暫く与熱します。プレス機から出して暫く熱が冷めるのを待ち自然に剥がれだした頃合いに凸版を気をつけて剥がします。
母型に文字面が取られないように気を配りながら緊張する工程です。綺麗に剥がれれば文字が型押しされています。
6.ゴムの流し込み作業
母型にゴム板をのせてプレスします。これを流し込みと言いここから鋳造ゴム印と呼ばれています。
ゴム板は型がきれいに流れるように予め洗剤溶液に浸しておきます。
鉄板を被せてプレスとエアー抜きを繰り返した後に暫く与熱すればゴム印の印面の焼き上がりです。
7.ゴムの裁断作業。
焼きあがったゴムは印面がきれいに流し込まれているか良くチェックします。OKなら裁断作業です。
裁断機で文字の間に刃を合せて押し切りします。文字面を切らないように刃の位置に気をつけて刃がずれないようにレバ―を降ろします。
8.台木出し、裁断作業。
裁断したゴムの大きさに合う台木を出します。台木棚には活字の大きさの倍数に応じて台木が号(ポイント)別にストックされていて適切な大きさの台木を出していきます。
ゴムの大きさ(幅)が倍数以外の大きさの場合は近い大きさの台木を電気ノコギリで裁断します。
ゴムの幅に合せてマーキングしてノコの刃に向けて押してカットするのですが指先が刃に巻き込まれないよう注意して刃の回転速度に合せて押し切りする危険な作業です。
9.仕上げ作業(見出し押し)
ゴムの大きさに台木を合せたら仕上げ作業です。仕上げとは台木の背見出しに捺印部の文字を押す作業を言います。
見出し用のインクを台座に仮貼り付けしたゴム印の印面にローラーで塗ります。インクが濃いと見出しが太く濃くなるので予めインクの量に気をつけて良くのばして準備します。
そして手作業で台木背面に押していきますが力加減で文字が太くなったり欠けたりするので慎重に押していきます。上手くいかない時はインクをふき取り綺麗に押せるまで直すこともあり結構イラッとします(苦笑)感覚を手に覚えさせて出来る職人仕事です。押し終えたら印面を貼りつけて次のニス塗りまで暫くインクを乾かします。
10.仕上げ(ニス塗り)
インクが乾いたら見出しの文字を保護するために艶出しニスを塗ります。インクが乾いてないと文字が流れたり滲んだりするので乾かします。これもただ塗ればいいとという訳でなく、ニスに筆先を浸したら筆先をビンの口で整えながらニスが適量になるよう落とします。
いよいよ塗るのですがこれもボタッと付かないように優しく筆先で撫でるように塗ります。
ニスが乾いてから厚ぼったくニスの層がダマのようになると見た目も綺麗でないので薄く平らかに塗ったのが分からない位に艶が出るようにこれも感覚勝負です。ニスは速乾性があるので乾けば完成です。
急ぎ仕事でお客様がスグでも入用の際は見出し押し⇒ニス塗りを続けることもありますがそんな時はより慎重に塗るようにして文字が流れたり滲むのに気をつけます。見た目は簡単なような作業も全て磨いた技で綺麗に仕上げられるのです。